大判例

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大阪高等裁判所 昭和58年(う)1307号 判決

所論は,原判決は,「一般にかような売上の計上時期については,法律上権利を行使することができるようになったときと解すべきであるが,本件においては,契約当事者間で売買代金が確定し財貨(土地)の占有移転がありその財貨の利用収益の権利が譲受人に移転した時期と把握するのが,法人税法の立法趣旨に合致し,相当と認められる。」とし,組合が組合員に土地を引き渡した時に売上げの計上をすべきであるというが,本件においては,本件協同組合が各組合員に土地を再分譲した昭和56年3月25日までは,組合と組合員の間に土地の売買契約は締結されていないから,(1)右再分譲の日より前である原判示の土地引渡しの時点では,組合は組合員に土地代金を請求することはできないはずであり,(2)「財貨(土地)の占有移転がありその財貨の利用収益の権利が譲受人に移転した」といっても,その土地の引渡しは売買契約に基づくものではなく,使用貸借によるものであり,さらに(3)前記再分譲の日までは,土地の売買代金は確定していなかったのであるから,原判決の前記認定は事実を誤認したものであるという。

しかし,関係各証拠によれば,原判決が「弁護人の主張に対する判断」の項で説示しているように,本件組合は,公害防止事業団から譲受けた土地を公害防止用の工場用地として組合員に分譲することを目的とするもので,組合は事業団との土地譲渡契約により,組合員に対する土地再譲渡については,事業団作成の「公害防止事業団建設施設の再譲渡基準に関する達」(以下単に「達」という。)により,事業団の承認をえたうえ,組合,組合員,事業団の三者の文書による契約によることとし,その際の再譲渡価格は事業団の譲渡価格から算出した原価によるべきこととされていたところ,被告人はこれらの土地を自己の用に供するため,組合の業務として,右「達」に違背し,右原価に利益を上乗せした金額で組合員にこれらの土地を再分譲し,その際自己の悪事の露顕をおそれて契約書等は作成しなかったことが認められ,そして,組合が事業団から譲り受けた土地を各組合員に分譲した状況をみると,関係各証拠によれば,組合は,各組合員との間で,それぞれ特定された土地につき,その譲渡価格の額並びにそのうちの各頭金及び割賦金の額を約定したのち,各組合員から最終頭金を受け取ったうえ,各組合員に右割賦金の支払時期を定めた計算書を交付するとともに,右各分譲土地を引き渡していることが認められるのであって,少なくとも組合が各組合員に分譲土地を引渡した時点において既に組合と各組合員との間に各分譲土地につきそれぞれ有償の譲渡契約(売買契約,以下売買契約という。)が成立していたものと認めるのが相当である(もっとも,右各売買契約は,前記「達」に定める組合の組合員に対する再譲渡の時期,条件及び方式に従って締結されてはいないが,右規定は,公害防止事業団の内部規定であり,その内容からして,これに違反して締結された売買契約を無効ならしめるとは解されず,ましてやその違反が税法上の損益の発生時期を左右すると解するのは相当ではない。)。したがって,前記(1)の主張については,組合は組合員に対し右各売買契約成立後はその各売買代金を割賦金の形で請求することができるものというべきであり,同(2)の主張については,組合員に対する各土地の引渡しは,右各売買契約に基づくものであり,また同(3)の主張については,各売買代金は右各引渡しの当時確定していたものであるから,右各主張はいずれも失当というべく,原判決が右各引渡しの時をもって,「売買代金が確定し財貨(土地)の占有移転がありその財貨の利用収益の権利が譲受人に移転した時期」としたことは相当である。所論は採用することができない。

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